夏休みの勉強法
そして、差し迫ってやってくる夏休みの過ごし方ですが、私の考えも盛り込みながらお話します。
①「受験勉強」は2年間の忍耐が必要です。
これは、本人と家族全員という意味です。現代っ子はとにかく忙しい、「勉強する時間がない」との言い訳がなぜ起こるのか?
簡単にいえば、現代っ子は「勉強する時間」よりも「楽しく遊ぶ時間」が多いからです。現代社会においては、「読書時間」などは考る余地もないほど「誘惑」があまりにも多い点が特徴です。
「物が豊富にある悲劇時代」ですから、「DS・Wii・インターネットゲーム・中学生になっても遊戯王のカードゲームなどなど」勉強時間を削減させる「誘惑」があまりにも多い点を意識しなければなりません。少し考えていただきたいことは、大人の都合で「家族みんなが楽しく遊べるから」との理由で「簡単にこれらDS・Wii・インターネットゲームなどを購入しないでほしい」ということなんです。
怖いことに、現代のこれらの「誘惑」は、企業戦略により「継続的満足度」を充足するようなシステムになっている点です。一度導入したら、一生涯お付き合いすることになるのが怖い点なんですね。
大量生産が定着した日本において、なかなか困難な課題ですが、消費者はここのところを「かしこく」生活していかないと不幸になると思うんですね。
この解決策は簡単なことです。「これらの誘惑を我慢して買わなければよいだけ」です。そして、これらの誘惑を見る暇もないほどの「勉強の魅力」を体感させることが必要です。また、「もともと勉強はつらいもの。勉強をするのが好きな人は一人もいない。」など、勉強に対する常識を逆転させない限り、現代の不幸は解決できないと思うんですね。②ちなみに、
私立の生徒たちは、土曜・日曜・夏休みなどの長期休暇に関係なく、学校に登校して勉強しています。
まず、「自らの足で出向く場所」をつくることが重要です。
当然、学習塾・図書館などが考えられると思いますが、とにかく「自ら能動的に出向く場所」をつくることが重要なんです。
実は、この私立の生徒たちは、「勉強はつらいけれどおもしろい」「勉強をするのが好き」な子どもたちなんです。
つまり、ご父母・教師の努力で、子どもたちに「勉強の魅力」を体感させていることがすばらしいのです。でないと、夏休みなどの長い休暇に「自らの足で毎日登校すること」はしません。③次に、
受験で勉強しなければいけない科目は、英語・数学・国語・理科・社会と5教科あります。
机について30分くらいは集中できませんから、1教科最低1時間必要だと思います。
また、「今日は英語・数学・国語の3教科」、「明日は理科・社会の2教科」という考えもありますが、できれば、1日5教科を勉強するのが理想です。すると、1日最低5時間の勉強が必要だ。ということになります。
だって、平常の学校授業は何時間あるんですか?そして、人間は「思ったことしかできない動物」ですから、逆に考えれば「思えば勝ち」です。
つまり、「1日5教科、1日最低5時間の勉強をする」と決意することです。
ですから、ご父母は、この「1日5教科、1日最低5時間の勉強をする」と決意させることです。
そして、「自転車のこぎ始めは辛いが、安定すると風の心地よさ・自然の素晴らしさまで見えてきます。」勉強も同じことなんです。「安定するまでの辛抱」を根気強く訴えていくしかありません。④そして、
「夏休み」こそ「自作ノートの工夫」を考えることが大切であることを伝えてください。
まず、現代っ子は、本来の勉強の流れを知りませんし、最近では教えてくれる教師も少ないようです。
つまり、「本来の勉強の流れ」である、予習⇒授業⇒復習の流れがうまく出来ていません。
「予習」は今度学習する単元の意識付けですから、最初の「イメージトレーニング」です。
「授業」は「イメージトレーニングの正否の確認作業」です。
そして、「復習」はその単元の理解度を試す時間ですし、応用問題・発展問題へ挑戦するための時間なのです。
このことを意識・理解しておかないと、毎回の勉強も徒労に終わることになります。このことは重要なことで、低いレベルで伸び悩んでいる生徒の最大原因は、この点にあります。
次に、予習⇒授業⇒復習の流れがうまくいっていても、平均点以上の得点を確保できない生徒は、「自作ノートの工夫」がうまく出来ていない生徒です。というよりも、考え方が間違っている生徒です。⑤本来ノートは2種類必要です。
「授業」で板書(黒板・ホワイトボードなどで書かれているもの)された内容を書いたノートと、いろいろ自分で解いた問題用のノートの2種類を作る必要があります。
そして、実は、この授業の板書ノートが将来の「自作の参考書」になることの認識が重要な点なんです。
この「自作の参考書」が充実していれば、市販の「参考書」など買う必要はありません。
ですから、私は「ノートはどのようなものが良いですか?」の質問には、いつも「差し替え可能なA4サイズのルーズリーフ」を推奨しています。
まだ言えば、これら受験で勉強しなければいけない5教科も、それぞれ3分野に分けることができます。
つまり、英語は「肯定文・否定文・疑問文」、数学は「数・量・図形」、国語は「現代文・古文・知識」、理科は「生物・物理・化学」、社会は「地理・歴史・公民」の計15分野、計15冊作るのが理想です。
そして、それらの「参考書ノート」に盛り込む内容には、「解き方」「考え方の共通点・相違点」「関連する項目」などを書き込んでおくと便利です。
また、「理解できた単元」と「理解できていない単元」を分けておくと、より効果的に勉強が出来るのです。ということで、「勉強することは大変にお金のかかる活動であること」をご理解ください。ここまでが、中学1年から中学3年までの生徒が意識しなければいけない点です。⑥今度は、
中学3年生にかかわるお話をします。
中学3年生の9月以降に実施される業者模試・外部模試の「合不合判定テスト」とか「合否判定テスト」と、平常に実施される「習熟度確認テスト」は、大きく性格のちがうテストであることを認識してください。
平常に実施される「習熟度確認テスト」は、範囲を決めて、分野を限定したテストで、まさしく関連の習熟度を確認するテストです。ですから、この段階での「偏差値」は意味がありません。
逆に、「合不合判定テスト」とか「合否判定テスト」の「偏差値」「偏差値表」は、先ほどお話した「偏差値の誤解」と密接に関係してきます。つまり、出来るだけ多く参加している、母集団の大きなテスト会に参加することが重要ですし、自分の置かれている位置を認識する絶好の資料がこの「合不合判定テスト」とか「合否判定テスト」なんです。
ここで重要なことは、この「合不合判定テスト」とか「合否判定テスト」を受ける段階で、「受験最低単元」を、一度消化しているか?消化していないか?で、この結果が出た以降の勉強方針にも大きな影響を与えることになる点です。
まず、中学3年生の夏の段階で、「志望校選定が何校か出来ている必要があります。」から、一度消化している生徒は同じ土俵・テーブルにつけますが、一度も消化していない生徒は「この受験の土俵・テーブル」につくことは出来ません。
ですから、夏休みまでに「受験に必要な最低単元」を消化しておくことを強調したのです。
まさしくこの意味で、「受験において、中学3年生の夏は天王山」なのです。9月以降、「自作の参考書」が充実している生徒は、「志望校の過去問」に挑戦できますが、充実していない生徒は、「受験に必要な最低単元」を消化する時間を確保しなければ「勝利の鐘」を鳴らすことは不可能です。
ですから、「受験は逆算方式で中学1年の段階から、ご父母方針を決めておく必要がある」ことをご理解いただけましたでしょうか?⑦ここで、「過去問」の勉強方法について、触れておきます。これは、2008年、平成20年用の最新の「茨城県公立高校」の過去問集です。「声の教育社」から出版されています。中学3年生にとって、「受験に必要な最低単元」を消化していても、この過去問の「やり方」を正確に知っておかないと、宝の持ち腐れになってしまいますので、使い方と過去問の考え方をお話しておきます。
●傾向と対策について(省略します。)
●解答用紙は、直接書き込まないでコピーして使用する。
●インターネット検索などで他県の過去問も利用する。
実は、この「過去問」の訓練が受験では一番大切なポイントとなります。数学の公式などを全て理解記憶することは不可能です。そして、本番に臨んで緊張のあまり「記憶喪失」状態が起こる可能性があります。本当の受験勉強のポイントは、「理解記憶」する訓練と同時に、この「過去問」を利用して「答えを類推する訓練」こそ「知恵」を磨く訓練であることを認識してください。つまり、設問で問われている流れを「体感」する訓練こそが重要だったのです。⑧ということで、
本日ご参加のご父母の方々は、学年がまちまちでしょうから、私がお話した「危機感」の部分に該当されたご家庭は、「本日からは、時との戦いであることを認識していただけたと思います。」ので、この「人生の疑似体験の天王山を乗り越えるべく」「ラボレムスの精神」でがんばってまいりましょう。
二00七年七月十四日
茨城県古河市 福祉の森会館ホールにて