【偉大なる自己の確立】

 戸田先生は、青年たちに『品位と教養を高めよ、読書によって、偉大なる自己を確立せよ。』と叫ばれました。古来より偉大な人格は、先人の遺産である思想・哲学をわが身に刻み付けるために、膨大な「読書量」を自己に課し、己が使命を探究してきました。江戸時代の「吉田松陰」「頼山陽」しかり、明治時代の混迷期に威風堂々の論陣を張ったジャーナリスト・研究家・文学者たちも、膨大な時間を使って「自己の確立」のために、真摯な態度で「先人の書籍」と格闘しています。

 現代の教育現状を眺めると、「ゆとり教育の弊害」や「活字ばなれの弊害」また「マンガ以外は読書をしない青少年たち」などの問題を抱えています。そこで、ノーベル賞受賞者の「湯川英樹」や「朝永振一郎」が学んだ旧制京都一中の必読書は、大変参考になると思います。 前述の『日本外史』『福翁百話』『氷川清話』『日本風景論』『代表的日本人』『樗牛全集』そして、『三宅雪嶺』『徳富蘇峰』の著作などが提示されていたそうです。今西錦司・貝塚茂樹・木村素衛・桑原武夫・下村寅太郎・西堀英三郎・林達夫など多才な人材を輩出した旧制京都一中の卒業生に共通している点は、「柔軟な思考の持ち主で、品格を備えた型にはまらない人格」であるような気がしますが、読者の皆様はいかがお考えでしょうか。

 創価の源流探訪と「明治時代の偉人たちの威風」の研究は、私のライフワークともなったのですが、実は、「19歳からの智のロマン」を発表した最大のきっかけは、池田先生が指導された「一書の人を恐れよ。書を読め、書に読まれるな。自己を作る事だ。それには、熱烈たる、勇気が必要だ。」から始まって、膨大な書籍の購入に繋がり、これまでに紹介した人物・書籍から多くのものを学んだことを整理しようと思ったことが大きな原因です。

 ともあれ、この「智のロマン」は、私にとっての「精神闘争記録」でもあります。いつの時代になっても、青年にとっての探究課題は共通のような気がします。読者諸氏には、「更なる読書への挑戦」のための参考資料として、ご活用いただければ幸いです。


 2007年3月16日 枚方樹冠庵にて 著者識