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『塵劫記』の「面積」と「容積」の説明の部分は、圧巻です。
【面積の説明図】
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台形・三角形・円・扇形・六角形とか色々変形した図が登場していますが、
これらの土地の面積から、どれだけの「米」「農作物」が収穫できるか?
そして、これは「検地」の説明です。「検地」とは、課税の基礎として地積を測ることです。
【容積の説明図】
江戸時代からは少し遡って、この「検地」で有名なのが社会科にも登場する「太閤検地」です。私がよく生徒たちに話すことですが、この太閤さんこと豊臣秀吉さんは、「算術」の天才とも言える人でした。
「検地」で面積を確定して「税」を徴収するわけですが、当時の「税」はお米です。ここで登場するのが、「京マス」でした。それまで使用していた「古マス」からこの「京マス」に替えて税を取り立てることにし、替えた理由がもっともらしい理由でした。
「古マスは、たて・よこが五寸だが、今度使用する京マスはたて・よこを一分(いちぶ)ずつ短くして、その二分(にぶ)を底を深くする。二分減らして二分増やすのだから、全体はかわらない。」とのことでした。
しかし、これを売買算に置き換えて、良く考えてみましょう。
【問題】
「原価3000円のくつに、1割の利益を見込んで定価を付けて売りました。しかし、売れないので、1割引きで売りました。」この問題の場合、もうかったのでしょうか?
【答え】
3000×(1+0.1)=3300(円)
3300×(1−0.1)=2970(円)
3300−2970=330(円)
原価割れで330円の損になります。
この問題と同様に、太閤さんの「京マス」を計算すると、「京マス」100杯分で約4杯分多く税を徴収できます。お見事としか言いようがありません。(ちなみに、現代では「京間」もそうですが、この「京」を「狭い」と理解されている方がおいでになりませんか?)
今度は、現代の身近な話でこの「算術」を体験してみましょう。
例えば、コンビニとかスーパーで627円の買い物をするとき、あなたは次のどの方法で支払いますか?
@ 百円玉6枚と十円玉2枚と五円玉1枚と一円玉2枚で支払う。 A 五百円玉1枚と百円玉1枚と十円玉2枚と五円玉1枚と一円玉2枚で支払う。 B 630円払って3円のおつりをもらう。 C 千円札1枚と十円玉2枚と五円玉1枚と一円玉2枚で支払う。 D 1127円払って五百円玉1枚のおつりをもらう。 私も、このように色々な支払い方法を考えます。まさに、瞬間の推理計算が「算術」なのです。そして、「算術」は「生活から切り離せない計算芸術」なのです。
この支払行動に少し説明を加えることにしましょう。
@とAは、「たし算方式」いわゆる積み上げ方式です。BからDまでは、「ひき算方式」いわゆる逆算方式です。現代では、「百マス計算」が一部の小学校・学習塾で、もてはやされていますが、確かに計算能力には長けますが、思考力には何ら影響を及ぼしません。逆にこの「百マス計算」を持続しすぎると、思わぬ弊害が出ます。「百マス計算」は、いわゆる我々の世界では「パターン学習」です。この「パターン学習」は初歩段階では必要ですが、思考力を必要とする「応用問題」には、何ら有効ではないのです。
「公式の暗記」も同様のことが起こります。ですから、戸田先生も『指導算術』で「公式は暗記するものではなく、理解記憶することが大切である。」と強調されています。また、前述の「虫食い算(充填算)」の考え方を吟味するよう指導もされているのです。
なお、ウィンベル学院では「公式」を「定式」と表現していますが、「公式は暗記するもの」との誤解を避けるために「定式」と表現しています。