あ 

葦原乃(アシボルネ) (あしはらの)

(万葉集167・1804)

【類似表記】・・・・・「葦原能」(万葉集4094)
【従来の解釈】・・・不詳。「みづほのくに」にかかる。
【真の意味】・・・・・『最上の野原は』『最初の野原は』『アシボル(女性権力者の領土)』。「アシ」は「長」「端」「初」「母権社会のリーダー」。「ボル」は「原」

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安佐我保能(アサナボヌン) (あさがほの)

(万葉集3502)

【類似表記】・・・・・「朝貌乃」(万葉集2275)
【従来の解釈】・・・朝顔(植物)の。「ほ」「さき」「とし」「はかなし」にかかる。
【真の意味】・・・・・『朝、顔を見る』または『朝、我を見る』。「朝貌乃」は「アサボネ」で、『朝、見る』または『奪ってみる』。

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伊奈宇之呂(イネウジラ) (いなうしろ)

(万葉集1520)

【従来の解釈】・・・「宇」は「牟」の誤写か。「かは」にかかる。
【真の意味】・・・・・『すぐ泣くので』。「伊奈宇之呂」の誤記とされている「伊奈牟之呂」は「イネモッガラ」で『すぐには行かれぬ』。

伊奈武思侶(イネムシロ)

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伊奈武思侶(イネムシロ) (いなむしろ)

(万葉集2643)

【類似表記】・・・・・「伊儺武斯廬」(紀83)、「稲莚」(日本書紀歌謡の訓み下しに見る表記) 
【従来の解釈】・・・稲莚を「敷く」で「しく」にかかり、稲田を川に見たて、また稲莚をしいて臥すから「ふしみ・かは」にかかる。
【真の意味】・・・・・『すぐ攻める』。「イネ」は「すぐ」、「ムシロ」は「攻める」

※「伊奈牟之呂」は別物で、「イネモッガロ」で「すぐ行けぬ・行けない」
※「伊奈宇之呂」も別物で、「イネウジロ」で「すぐ泣き出す」

伊奈宇之呂(イネウジラ)

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宇都曾見乃(ウチサムネ) (うつそみの)

万葉集(165)

【類似表記】・・・・・「宇都曾見能」(万葉集4214)
【従来の解釈】・・・「うつせみ」の古形。
【真の意味】・・・・・『どうやって生きていこう』。「ウチサノ」と同義であるが、上品な言葉遣い。

空蝉之(ウチサノ)(ウチサジ)

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奥山之(ギムメジ) (おくやまの)

(万葉集299・他)

【類似表記】・・・・・「於久夜麻能」(万葉集3467)
【従来の解釈】・・・「まき、たつき、ふかき」にかかる。「おくやま」は人里離れた奥深い山。みやま。
【真の意味】・・・・・『野良仕事せむ』『田や畑の草取りをしよう』。「ギムメ」「ギブメ」は「野良仕事」、「ジ」は「・・・しよう」

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空蝉之(ウチサノ)(ウチサジ) (うつせみの)

(万葉集24他)

【類似表記】・・・・・「宇都蝉之」(万葉集597)、「虚蝉之」(万葉集465)、「打蝉之」(万葉集466)など。
【従来の解釈】・・・現身(うつしみ)の意味から「世」「人」「命」「常」「名」などにかかる。
【真の意味】・・・・・『どう生きながらえようか』『どうやって生きていけばいいのか』。「ウチ」は「どうやって」「いかに」。「サノ」は「生きようか」「生きていけばいいのか」。会話体。

宇都曾見乃(ウチサムネ)

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荒妙乃(アラダペネ)(ゴチルダペネ) (あらたえの・あらたへの)

(万葉集50・159)

【類似表記】・・・・・「荒妙」(万葉集938)、「麁妙乃」(万葉集52)、「安良多倍乃」(万葉集3607異伝)
【従来の解釈】・・・粗悪な布。「ふぢ」「ぬのきぬ」「ころも」にかかる。
【真の意味】・・・・・「アラダペネ」(阿羅に行く船は)と「ゴチルダペネ」(荒下着は)の二通りに詠んでいる。「アラ」は「アヤ」とも呼ばれ「安那」「阿耶(にんべんがある「や」)」などとも表記された韓国古代国家のうちの一国(一世紀〜六世紀)。製鉄、絹織りなど、物作りの技術に特にすぐれていた(「あや織り」は「アヤの織物の意味」)。「アラ」は韓半島の南海岸に接していたので、「アラに行く」ということは「韓国に行く」ことを意味した。「ダ」は「着く」、「ベ」は「船」。「ゴチル」は「荒い」。「ダ」には「着く」と同時に「触る」「触れる」の意味も含まれている。以上で「アラダペネ」は『アラに行く船は』、「ゴチルダペネ」は『荒布の下着は』となる。前者、後者の場合とも「ダ」にはT音の終声がほのかに付くので、「ベ」は「ペ」と発音されることになる。

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秋津嶋(アギジシム) (あきつしま)

(万葉集3333)

【類似表記】・・・・・「蜻嶋」(万葉集2・3250他」)「阿企菟辞摩」(日本書紀63)「婀岐豆斯麻」(日本書紀75)
【従来の解釈】・・・稲のよく熟する国、他。
【真の意味】・・・・・『子の島』『分国』『小さな種族の住む島』。「アギ」は「子」、「シム」(または「ショム」)は「島」、現代語「ソム」

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青丹吉(アオンニエシ) (あをによし)

(万葉集17・1046他)

【類似表記】・・・・・「青丹与之」(万葉集4245)、「安遠尓与之」(万葉集4008)、「阿乎尓与斯」(万葉集797)、「阿鳥珥予辞」(日本書紀54)
【従来の解釈】・・・「奈良に青丹を産出したから奈良にかかるというが証拠はなく疑問である」としている。奈良の都の青や赤に塗った建物の美しさをたたえたものかともいう。
【真の意味】・・・・・「アオンニエシ」は『ぽっかり空いていて最上』。また「アオンニヨンジ」ともよまれ『奥まっていて霊妙』となる。「アオン」は「ぽっかり空いている」「奥まっている」で、これに「ニ」が付くと副詞になる。「ぽっかり空いていて」「奥まっていて」。「エシ」は「アシ」と同語であるが、特に「最初」「最上」の意味で使われる。「ヨンジ」は「霊妙である」。

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赤玉能(アガタマヌン)(アガタムヌン) (あかだまの)

(祝詞・出雲国造神賀詞)

【従来の解釈】・・・「赤い色の玉」、「あからぶ」にかかる。
【真の意味】・・・・・『幼君は・・・・』『赤ちゃんである総督は・・・・』 「アガ」は「幼児」、「タマ(タム)」は「最高権力者」「総督」「王」

白玉之(シラタマガ)(シラタムガ)

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赤根指(バクネサシ) (あかねさし)

(万葉集565)

【類似表記】・・・・・「赤根刺」(万葉集2353)
【従来の解釈】・・・あかね色(茜色)に照り映える。「てる」にかかる。
【真の意味】・・・・・『明るい城』『赤いまら(男性性器)』『入れよう、まら』 「バク」は「明るい」「入れる」の意味、「ネ」は「・・・・・しよう」、「サシ」は「城」「股」「まら」のこと。

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足日木乃(アシビゲネ) (あしひきの)

(万葉集103など)

【類似表記】・・・・・「阿志比紀能」(古事記78)、「阿資臂紀能」(日本書紀69)、「足引之」(万葉集669他)、「足病之」(万葉集1262)、「足曳之」(万葉集1842、2219、2313、3789、3790)、「安之比奇能」(万葉集4266他)、「安思比奇能」(万葉集3983他)、等。
【従来の解釈】・・・山はあえぎつつ足を曳いて登るから「やま、みね、やつを」などにかかる。「馬酔木(あしひき)」であるという説もある。
【真の意味】・・・・・『(共寝用の)長枕は』(または『姫枕は』)。この「長枕(ジャンチム)」は現代語で「ウオナンチム(鴛鴦枕)」、鴛鴦=おしどり、つまり「おしどり枕」。
「アシ」は「若奥様」「高貴な女性」「長」「辺」、「ビゲ・ビョゲ」は「枕」、「ネ・ガ・ヌン」は「・・・は、・・・が」

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打十八為(ウチシブパルシ) (うつそやし)

万葉集(3791)

【従来の解釈】・・・「うつそ」は打ってやわらかにした麻、「やし」は感動の助詞。「おみ」にかかる。
【真の意味】・・・・・『いかにほとを売らむ』。「ウチ」は「いかに」。「シブ」は「ほと」。「パル」は「売る」。「シ」は「・・・・・する」。「為」は韓国式音よみでは「ウィ」。これに「パル」をかぶせて「パルウィ」としても「パルシ」つまり「売らむ」と同義である。「オミ」は「女」のこと。

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打日指(ウチビサシ) (うちひさす)

(万葉集532)

【類似表記】・・・・・「打日刺」(万葉集2382)「撃日刺」(万葉集1280)「宇知比佐受」(万葉集886)他。
【従来の解釈】・・・「現日(うつしひ)」の約とする説、「全(うつ)、日(ひ)、射(さす)」の意味とする説、「美(うつ)、檜(ひ)」で、美しい檜で建てる宮とする説など。「みや」「みやこ」にかかる。
【真の意味】・・・・・『尊い方が見えるお城』『お上の方が切る股』の二重意味。「ウ」は「上」。「チ」は「尊い男性」または「まら」。「ビ」は「見える」「切る」。「サシ」は「城」「股」。

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打麻乎(ウチサオ) (うちそを)

(万葉集23)

【従来の解釈】・・・打った麻を績(う)むところから「おみのおおきみ」にかかる。
【真の意味】・・・・・『どうやって生きていかれますか?(どう生活なされますか)』。「ウチ」は「どうやって」「いかに」。「サオ」は「生きていかれる?」。

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天在(アメナリ)(アメナル) (あめなる・あめにある)

(万葉集1277・2361)

【従来の解釈】・・・天にある日という続きで「日」とその同音をふくむ「日光」「一」にかかる。
【真の意味】・・・・・『天の川』または『女川』。『女運び』ともなる。「アメ」は「天」「女」、「ナリ」「ナル」は「川」「運ぶ」。

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馬並而(マルアオロ)(マルアオリ) (うまなめて)

万葉集(1859)

【従来の解釈】・・・馬を並べて「たく」(手綱を操る・・・たくる)の意味から、これと類音の地名「多賀」にかかる。
【真の意味】・・・・・『馬集め』『馬をそろえて』。「マル」は「馬」。「アオロ」「アオリ」は「集めて」または「全部」の意味。吏読表記では「竝以」とした。現代語で「アウルロ」。

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味酒(ミキ)(ミケ) (うまさけ)

万葉集(17・1517・他)

【類似表記】・・・・・「宇磨佐開」(日本書紀17)「旨酒」(日本書紀82)
【従来の解釈】・・・味のよい酒である神酒(みわ)を、同音の「三輪」「三輪山」と同義の「三諸・三室」などにかかる。
【真の意味】・・・・・『水飯』つまり『お酒』(お米でつくった白いにごり酒のこと)。「ミ」は「水」。「キ」(「ケ」も同語)は「食事」。
「味酒之」(万葉集2512)は「ミキガ」で『お酒が・・・・・』となる。

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 か 

炎乃(ガグロビネ) (かげろひの)

万葉集(1047)

【類似表記】・・・・・「蜻火之」(万葉集210)「加芸漏肥能」(古事記78)、他
【従来の解釈】・・・「かげろう」のこと。「春」「立」などにかかる。
【真の意味】・・・・・『鏡陽(かがみひ)は』つまり『かげろうは』。「ガグロ」は「逆」という意味で「鏡」の古代語。「ビ」は「光」「陽」。鏡のようにゆらゆらともえるひざし、つまり「かげろう」。

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加芸漏肥能(ガグロビヌン) (かぎろひの)

(古事記78)

【類似表記】・・・・・「炎乃」(万葉集1047)他。
【従来の解説】・・・「陽炎・かげろう」のこと。「春」「立」などにかかる。
【真の意味】・・・・・『鏡陽(かがみひ)は・・・』はつまり『かげろうは・・・』または『逆に見える』ともなる。「ガグロ」「ゴクロ」は「逆に」の意味で「鏡」の古代語。「ビ」は「見える」。「ビ」の音の下にほのかにS音を付けると「光」「陽」ということばになる。「ガグロビヌン」は「逆に見える」。「ガグロシヌン」は「鏡陽は(かげろうは)」となる。かげろうは鏡のようにゆらゆら光るひざしであったのでこのように呼んだとみえる。

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可良久尓能(ガラグジヌン) (からくにの)

(万葉集3695)

【従来の解釈】・・・「からくに」は、もと朝鮮半島南部の国名だったが、のちには朝鮮半島全体の称に、さらに、唐をも含め広く外国の意味に用いた。「可良久」にかかる。
【真の意味】・・・・・『加羅久爾は』。「カラ」(加羅、駕洛などと表記)は一世紀から六世紀にかけて韓半島南端部で栄えていた古代国家。「グジ」とも呼ばれた。「ガラ」国の都であった現在の金海(ギムヘ)平野を「グジボル」(久爾原)、その主山を「グジボン」(久爾峰)と呼んだ。「可良久」は「駕洛(ガラク)」の万葉仮名表記。

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苅草乃(ガラセネ) (かるかやの・かるくさの)

万葉集(110・2763・他)

【従来の解釈】・・・二通りに訓ませていて、「かるかやの」は、刈り取った「かや」の乱れやすいところから「乱る」に、たばねるところから「束」にかかる。「かるくさの」は刈った草の一束の意味で「束之間」にかかる。
【真の意味】・・・・・二つに区別する必要のない同語。
「ガラセネ」つまり『刀を磨いで夜を明かす』。「ガラ」(「ガロ」とも発音する)は「磨いで」。「セネ」「セジ」は「夜を明かす」。
つまり、『武器をつくって戦いの準備をする』ということ。
「苅草之」はまた「ベチョジ」つまり「ベジョジ」で『ほと切りまらは』ともなる。

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子等我手乎(ゴラナスオ) (こらがてを)

万葉集(1815)

【類似表記】・・・・・「児等手乎」(万葉集1093・1268)
【従来の解釈】・・・妻・恋人の腕を巻く(枕にする)の意味で、「巻く」と同音を含む地名にかかる。
【真の意味】・・・・・『怒り、(前面に)出る』。「ゴラ」(正確には「ゴルナ」)は「怒って」、「ナスオ」は「出る」「出よ」。
これはまた「アラアスオ」ともよまれて『妊娠する』の意味にもなる。「アラア」(正確には「アルラア」)は「子」「赤ちゃん」、「スオ」は「立つ」。「子が立つ」とは「妊娠する」という意味のことば。

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釼著(ゴジレチャゴ) (くしろつく)

(万葉集41)

【従来の解釈】・・・釧(くしろ)は腕輪であるから「手(た)」にかかり、転じて「た」を語頭に持つ地名「答志」にかかる。
【真の意味】・・・・・『刀差し』または『髪などに差すアクセサリーを着けて』。「ゴジレ」は「差し物」(刀などの)。「チャゴ」は「差して」「着けて」

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 さ 

虚見津(ソラミチュ)(サロミチュ)(シンラミチュ) (そらみつ)

(万葉集1)

【類似表記】・・・・・「蘇良美都」(古事記71他)、「空見津」(万葉集3236)他。
【従来の解釈】・・・「そそり満つ」の意味で、大和は青山四周の地であるから地形上大和にかかる。また、神が空から見下した聖なる大和の意味とされている。
【真の意味】・・・・・『除羅(ソラ・新羅の前身であった国の名)と弥鄒(ミチュ・百済の前身であった国の名)』。この二つの国が「やまと」を形成することに関与した歴史を表わす形容句。つまり「やまと」の前身「やまたい国」は新羅系、「やまとの国」は百済系勢力がバック・アップした。

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佐々奈見也(ジャジャネミヤ) (さざなみや)

(神楽歌49)

【類似表記】・・・・・左散難弥乃(万葉集31)他。
【従来の解釈】・・・「さざなみが寄る」意味で「よる」などに、また「しが」「あふみ」など琵琶湖南西岸の地名にかかる。
【真の意味】・・・・・『小波(さざなみ)よ』、または『小さい海よ』。「ジャジャ」または「ジャジャル」は「細かい」。「ネミ」は「海」「池」などの意味。転じて「波」となる。「内米」「餘」などと吏読表記した。「左散難弥乃」または「佐左浪乃」は「ジャジャナミネ」で「小波が(は)」。「さざれなみ」は「ジャジャレネミ」で「ジャジャネミ」と同語。「さざれ石」の「さざれ」も、この「ジャジャレ」で「細かい」「小さい」という意味。
しかし、従来「さざなみの」と一括して訓まれてきた「楽浪乃」や「神楽浪乃」は、まったく別の枕詞である。「楽浪乃」は「ナクナクネ」(これをつづけて発音すると「ナンナンネ」になる)で、『たっぷりだ』『ゆったりしている』『豊かだ』の意味。「琵琶湖の水がたっぷりである」「都が豊かだ」ということなどを表現したもの。「楽浪乃」を韓国式音よみでよむと「ナクナンネ」となり、これをつづけて発音すると「ナンナンネ」になるのである。
また、「神楽浪乃」は「楽浪乃」と似ている表記ではあるが、これまたぜんぜん別個のことば。これは、「シンラナ(ネ)ミネ」で『新羅、押し寄せ』。『新羅が押し寄せる』の意味にも、『新羅を押し出す』の意味にも、歌具合によって両方に使える。しかも『白波が(は)』とも二重に訓める。
この「神楽浪乃」ということばを敢えて枕詞として分類するなら、「しらなみの」(白浪乃、志良奈美能などと表記)と「同音同義の異表記語」とするべきである。

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式嶋之(シギシムガ)式嶋乃(シキシムネ) (しきしまの)

(万葉集3248・3249)

【類似表記】・・・・・「磯城嶋能」(万葉集1787)、「磯城嶋之」(万葉集3326)、「志貴嶋」(万葉集3254)、「之奇志麻乃」(万葉集4466)
【従来の解釈】・・・磯城島の宮のある大和。「やまと」「みち」「ふる」にかかる。
【真の意味】・・・・・『鎮めた島が(は)』。「シギ」は「シギルン」または「シギン」の約で「鎮めた」「征服した」「寝かせた」の意味。

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白玉之(シラタマガ)(シラタムガ) (しらたまの)

(万葉集904・1792他)

【類似表記】・・・・・「斯良多麻能」(古事記7)
【従来の解釈】・・・白色の美しい玉。「を」「わがこ」「きみ」「ひと」「なみだ」にかかる。
【真の意味】・・・・・『新羅(斯盧・除羅)王が・・・』。「シラ」は「新羅」。「ショロ」とよむと「白い」という意味になる。「タマ」は「最高統帥者」「総督」「王」

赤玉能(アガタマヌン)(アガタムヌン)

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白妙能(シラグベヌン)(ショログベヌン) (しろたへの)

(万葉集28他)

【類似表記】・・・・・「白細布之」(万葉集2688)、「之呂多倍能」(万葉集3751)、「思路多倍乃」(万葉集3449)他。
【従来の解釈】・・・「白袴」。「栲」は植物性織物の総称。転じて、すべての白いものをさしていうに至った。「衣」「下衣」「みてぐら」「枕」「光」「砂」「藤江の浦」「浜名」などにかかる。
【真の意味】・・・・・『白下着は(が)』。また『白く最高のものは』『新羅に着く船は』などと多様に意味した。

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拆鈴(チャゲスズ) (さくすず)

(日本書紀・巻九)

【従来の解釈】・・・不詳。「さくすず」は「さくくしろ」の誤りとする説も。「いすず」にかかる。
【真の意味】・・・・・『刀を洗う』。「チャゲ」は「差し刀」。「スズ」は「洗う」、「シス」の古代語。

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 た 

玉尅春(タマギバル) (たまきはる)

(万葉集4)

【類似表記】・・・・・「多麻岐波流」(古事記71)、「霊剋」(万葉集678)
【従来の解釈】・・・諸説あるが不詳。「命」「宇知」「内」などにかかる。
【真の意味】・・・・・『総督の領土(領分)を正しくしよう』。「タマ」「タム」は「統帥者」「総督」「王」。「ギ」(正確には「ギッ」)は「領土」「領分」「わけまえ」(吏読表記「衿」)、「バル」は「正す」「直す」。「ギッバル」を続けてよむと「ギパル」になる。要するに「たまきはる」は領土争い、つまり戦争を意味した修辞。それでこの「たまきはる」という枕詞は「命」または「宇知」(尊い人・天皇など)にかかる。

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玉戈之(ゴスルバクジ)(ゴシバクジ) (たまほこの)

(万葉集2643他)

【類似表記】・・・・・「玉桙之」(万葉集220他)、「多麻保許能」(万葉集3957)、「多麻保己乃」(万葉集4408)
【従来の解釈】・・・タマは霊魂、桙は陽石で、それを三叉路や部落の入口に立て、邪悪の侵入を阻止しようとした農耕社会の習俗があった、といわれる。「みち」「さと」「しをり」「たむけのかみ」「ゆくて」「ゆきかふ」にかかる。
【真の意味】・・・・・『逆さに入れる』、『反逆する』。「ゴスル」「ゴシ」は「さかさ」「反逆」。「バクル」は「入れる」。

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取与呂布(ドリヨロベ) (とりよろふ)

(万葉集2)

【従来の解釈】・・・「とり」は神異に関することを強調する接頭語で、「よろふ」は「寄(憑)る」の意味か?という。
【真の意味】・・・・・『周り幾重(まわりいくえ)』『取り巻きが多勢見える』。「ドリ」は「周り」「回り」「巡り」、「ドルダ」(まわる)が名詞化されたもの。「ヨロ」は「多くの」「たくさん」。「ベ」は「ビ」「ボイ」と同語で「見える」。「ベ」にはまた「周辺」の意味もある。
これは、多くの山にかこまれている飛鳥(あすか)を表現したことばである。

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手回(ソドゥロ) (たもとほり)

(万葉集1574)

【類似表記】・・・・・「回」(万葉集2379)、他。
【従来の解釈】・・・まわって行く、行きめぐるの意味。
【真の意味】・・・・・『急いで』。しかし、「回」は「ドウルロ」で『まわって』『寄り道して』。

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垂乳根之(ダラジョッネジ・ダラチネジ) (たらちねの)

(万葉集2991)

【類似表記】・・・・・「足千根之」(万葉集2517、他)、「多良知祢能」(万葉集3688・3691)、「足常」(万葉集2495)、「垂乳為」(万葉集3791)、「多羅知斯夜」(万葉集886)
【従来の解釈】・・・たらちね、たらつね、たらちし、などと呼び分け、「タラ」は「垂らす」、「チ」は「乳」、「ネ」は「女性」。よって、「はは、おや」にかかる。
【真の意味】・・・・・甘い乳を出す。または、「垂れまらを出す」。「まら」は男性のシンボル。

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千盤破(チバヘブル) (ちはやぶる)

(万葉集199他)

【類似表記】・・・・・「血速旧」(万葉集3236)、「千速振」(万葉集3240)、「千羽八振」(万葉集2662)、「知波夜夫流」(万葉集4011)、他
【従来の解釈】・・・猛威をふるう、強暴な、勇猛ななどの意味で「いちはやぶる」の略という。氏のほめことばとして同音の「宇治」にかかる。「神」にもかかる。
【真の意味】・・・・・『一千の岩を捨てる』、『千の岩野原』。または『尊い人を斬ってしまう』『まら(男)を切ってしまう』などと四重の意味で使われている。「チ」は「千」「神」「尊い人」「男」「まら」の意味。「バヘ」「バオ」は「岩」でもあり、動詞では「斬って」「切って」になる。「ブル」は「原」「捨てる」または「・・・・・してしまう」。百済系の独特なことば遣い。

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飛鳥(ナルセ) (とぶとりの)

(万葉集 78など)

【類似表記】・・・・・「飛鳥乃」(万葉集971)
【従来の解釈】・・・飛ぶ鳥のように早く帰ってくるようにの意味で「明日香」「早御来」にかかる。
【真の意味】・・・・・『夜が明ける』または『速い』の意味。「飛鳥乃」は「ナルセネ」で「ナルセ」と同語。「飛」は訓よみで「ナル」、「鳥」も訓よみで「セ」とよめる。

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 な 

庭津鳥(ニバチドリ) (にはつとり)

(万葉集1413)

【類似表記】・・・・・「爾波都登理」(古事記2)他。
【従来の解釈】・・・庭に飼う鳥(にわとり)で「可鶏」にかかる。
【真の意味】・・・・・『内場(ニバ・・・つまり庭)の鳥』で「にわとり」のこと。従来の解釈は正解。しかし、これも二重に読める。「ニバ」は「尊い所」、「ドリ」は「巡り」でもあって、「ニバチドリ」は『尊い所めぐり』の意味。「ニ」は「内」。「バ」は「場」「所」(「バダク」<平面・広い所>「バツ」<畑>「バカツ」<外>などの「バ」がこれである。)。この「ニバ」が日本語の「にわ」の語源である。「チ」は「・・・・の」または「神」「尊い人」。「ドリ」は前出の「周り」「巡り」と同語であるが、渡り鳥が必ず同じ場所に帰って来るところから、「鳥」を「ドリ」とも呼んだ。正確には「ドリセ」で、「帰り鳥」つまり「渡り鳥」のこと。この「ドリ」が日本語の「鳥」の語源である。
「鶏」は「ニバ」で飼う「ドリ」であるから「ニバチドリ」となる。古代韓国語の「ニ」には、「内」の意味のほかに「霊」「武」などの意味も含められていた。したがって、「ニバ」は「内場」と同時に「尊い所」「神(尊い人)のいます所」でもあった。「チ」は「神」「尊い人」「男」であるので「ニバチドリ」は「神聖なところにおられる神(尊い人)をおまいりすること」すなわち、『お宮まいり』となる。ことばにかかるといわれている「可鶏」は、韓国式音よみで「ガゲ」とよまれるが、これは「行こうとするので」の意味。枕詞「庭津鳥」にかかるのは、「お宮まいりに・・・・・行こうとするので」という意味の歌であるため。
また、この「ドリ」は天皇の「行幸」をも表わしたことばで、持統天皇の40回以上にも及ぶ「吉野まいり」も、万葉集巻一の111歌(弓削皇子)や112歌(額田王)なども「ドリ(鳥)」としている。
韓国では現在でも、お寺の塔をぐるぐる廻りながらお祈りすることを「タブドリ(塔廻り)」と呼び、人の家に遊びに歩き廻ることを「マウルドリ(村めぐり)」などと呼んでいる。
一方、万葉集巻一の2歌(息長足日広額天皇)の『山常庭(やまとには)・・・・』の「庭」は従来「・・・・には」という助詞として使われているが、これも「ニバ(内場)」と訓まなければならない。『やまとの内庭・・・・・』という意味で『やまとの内庭は幾重にも山に取り囲まれている・・・・』という歌文句である。
「内場(ニバ)」をガーデンの意味の「庭」という漢字にあて字をした古代人のセンスは素晴らしい。(この当たりの感受性が、李寧熙先生のすばらしい点であると、樹冠人は思います。)

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名細之(ナセジ) (なぐはし)

(万葉集220)

【類似表記】・・・・・「名細」(万葉集52)
【従来の解釈】・・・「その名の美はし」の意味。有名な地をほめる意味で「吉野山」「狭峯之島」にかかる。
【真の意味】・・・・・『(全面に)出る』『(全面に)出よ』『乗り出す』。「吉野山」や「狭峯之島」から「出て来る」「乗り出して来る」ことを意味している。「名細」は「ナセ」で「出て」。現代語で「ナソジ」「ナソ」。

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 は 

比佐迦多能(ビサガダンヌン) (ひさかたの)

(古事記27)

【類似表記】・・・・・「久堅之」(万葉集167他)、「比佐箇多能」(日本書紀59)他。
【従来の解釈】・・・「阿米」「阿麻」「天」「月」「都」などにかかる。悠久で堅固なもの、久遠なものなどの意識で用いていたものと思われる。
【真の意味】・・・・・『光矢(光線)が行き当る(突きあたる)』。「久堅之」は『堅い』『堅固だ』(グゴンジ)の意味にも二重によめる。「ビ」は「光」「日」。「サ」(L音の子音をつける)は「矢」。「ガ」は「行く」。「ダンヌン」は「着く」。

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 ま 

三諸就(ミモロチ) (みもろつく)

(万葉集1095)

【類似表記】・・・・・「三諸著」「三諸着」(万葉集1059)
【従来の解釈】・・・「み」は美称の接頭語。「もろ」は鏡や木綿をかけて神をまつる神座など神の降下して来る所。「みもろ」を設けてある意味で「鹿背山」「三輪山」にかかる。
【真の意味】・・・・・『水涸(か)れ寒し』または『水涸(か)れ男』。「ミ」は「水」、「モロ」は「涸(か)れた」(現代語「マルロ」)、「チ」は「寒い」「男」「まら」。

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麻岐牟久能(マゲムクヌン) (まきむくの)

(古事記100)

【従来の解釈】・・・「真木茂処」の意味。真木は「檜(ひ)」によって代表されたから「ひ」にかかる。
【真の意味】・・・・・『一番大きい木(神木)を縛る(しめなわをする)』また『マゲ(まら)を縛る』。「マゲ」は「大木」「まら」。「ムクヌン」は「縛る」。現代語「ムクヌン」

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緑児之(ミドルアガ) (みどりこの)

(万葉集213)

【類似表記】・・・・・「若子乃」(万葉集458)、「小児之」(万葉集2942)。
【従来の解釈】・・・三歳までの男女児。
【真の意味】・・・・・この従来の解釈も正解。しかし、なぜ三歳までの子供が「みどりこ」か?「ミ」は「三」、「ドル」は「周年」「誕生日」、「ア」は「子供」、「ガ」は「・・・・が」。つまり、「ミドルアガ」は『三周児が』で『三歳の子(嬰児)が』となる。日本の数詞「ひ、ふ、み、よ・・・・・・」は高句麗の数詞と近似している。「三」の「み」もまったく同音同語。

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 や 

八雲刺(エエグマジャシ) (やくもさす)

(万葉集430)

【従来の解釈】・・・いよいよ雲が勢いよく立ちのぼる意味から「出雲(いずも)」にかかる。
【真の意味】・・・・・『エエ(古代日本を指した韓国側からの呼称、「倭理<エエ>」と吏読表記した)のグマ(こま)族の城』。「エエ」は古代日本の呼称。「八島」の「八」がこれにあたる。「グマ」は「熊」。現代語「ゴム」。古代韓国において主流をなした一族。「ジャシ」(または「ジャッ」)は「城」。古代日本では「さし」と呼んだ。「刺」の韓国音よみは「ジャ」。古代の出雲は熊族の一大根拠地であった。

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八隅知之(エエシムシジ) (やすみしし)

(万葉集3)

【類似表示】・・・・・「夜須美斯志」(古事記28)、「夜輸濔始之」(日本書紀63)、「安見知之」(万葉集204)他。
【従来の解釈】・・・国の隅々まで治める意味で「和賀意富岐美」などにかかる。
【真の意味】・・・・・『エエシム(「八島」とも表記、古代日本の呼称、「シム(島)」は「ショム」とも呼ばれた)を鎮めた』。「シジ」は正確には「シジン」と発音された。「シギン」と同語。

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 わ 

娘子部四(ヲミナベシ) (をみなへし)

(万葉集675)

【類似表記】・・・・・「姫部思」(万葉集1905)、「佳人部為」(万葉集2107)、「姫押」(万葉集1346)
【従来の解釈】・・・「をみな」は佳人、美人の意味。「咲」「生」にかかる。
【真の意味】・・・・・『女の子を斬ろう』(セックスを意味する。「ヲミナ」は「娘」「女の子」。「ベ」は「・・・しよう」。「娘子部四(ヲミナベシ)」は「咲(ベ)」にかかる。「部(ベ)」は「切る」の意味。「咲(ベ)」は「花が咲く」の意味。「部(ベ)」と「咲(ベ)」は類似音なので、「咲いた女盛りの女を切る」、つまり女を征服するの意味にかけているのである。「咲(ベ)」の動詞は「ペダ」。現代語は「ピョダ」「ピダ」。

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